日野郡公設塾まなびや縁側

左から佐々木俊宙さん、中谷柊哉さん、阿部将樹さん

公設塾とは何か。

日野町山村開発センター(根雨駅前)にある日野郡公設塾まなびや縁側に行ってきました。日野郡の3町が運営する公設塾として去年から活動を始めています。そもそも公設塾とは何か。島根県海士町が、存続危機の隠岐島前高校のために、生徒の学力保証を支援しようと始めたのが、公設塾の始まりです。塾による学習支援があることもあり、全国から島留学生が集まり、隠岐島前高校の生徒数はV字回復しました。この取り組みが契機となり、全国で公設塾が広まりました。まなびや縁側も全国に広がった公設塾のひとつです。では、その活動を紹介します。

講師はやりたいことをサポート

日野郡公設塾の講師は3人。地域おこし協力隊としてこの任務にあたる日南町担当の佐々木俊宙さん(35歳)と江府町担当の阿部将樹さん(23歳)に話を聞いたところ、生徒の”やりたい”をサポートするのが私たちの仕事と話しています。興味、関心、やりたいのサポートが探究学習につながります。これが、どこの大学で学びたいかにつながったり、ふるさとをどう考えるかにつながるのですね。今年は国立大学への進学、会社への就職等の成果につながったとのことです。

ふるさと教育

ふるさと教育とは何かを少し話し合いました。ふるさと教育とは、地域外に出て行っても地域に貢献できる人を育成することですと明快に答えてくれました。高校の教育は大切です。勉強は進学するためにするのではなく、地域を背負う意識を学ぶのですから。将来この地域で活躍してくれる、そんな生徒の”考える”を手伝っています。

日野高校だけではなく、米子市にある高校の生徒もこの塾の対象です。今年は8校の生徒が公設塾に通いました。その中で境港市から日野高校に通学する生徒が講師の勧めで「金融と経済を考える第18回高校生小論文コンクール」に応募。自然と共存し、人に優しい農業についての考えを論文化し、なんと1802点の応募の中から日本銀行総裁賞を受賞しました。県内初の快挙だそうです。近年は、大学進学は学力の筆記試験だけではなく、高校で何をやってきたかの論文やプレゼンテーションで入学できるようになりました。こうした受賞や成果は生徒にとって重要です。

生徒たちの感想をいくつか

勉強が大の苦手だったけど、今は少しだけましになりました。阿部ちゃんに教わる勉強が楽しすぎていい。これから勉強することは少なくなるだろうけど。他県からきた講師の方々と触れ合うことで大人の人と話す抵抗がなくなって社会に出ても役立つものが身についた。人との出会いを大切にしたい。勉強が苦手だけど楽しく学べるようになったし、苦手な部分を克服できた。やれば必ず結果が出る。講師の人が優しくて面白かった。塾は硬い空気の受験勉強じゃなくて、ずっとしゃべっていて、とても楽しかった。