オガール

東洋大学根本祐二教授

今日は米子コンベンションセンター国際会議場において開催された鳥取県PPP/PFI推進地域プラットフォームセミナーに参加しました。講演は東洋大学教授根本祐二氏(オンラインによる参加)で演題は「小規模自治体の課題解決にPPPは役立つか」でした。また、県内でPPP事業が進行している江府町、智頭町、琴浦町及び鳥取県のPPP/PFI事業の報告もありました。

インフラを更新するだけで年間12兆円かかる。

根本先生は日本が抱えるインフラ老朽化問題から問題提起。現在あるインフラを更新するだけで年間12兆円かかり、50年続けると645兆円になるとの試算を提示し、インフラを維持するだけで消費税8%の増税が必要。公共施設自体には公共性はないので、物理量を削減してもサービスの公共性を維持することができる。しかし土木インフラはだれでも目的を問わず自由に利用できる点に公共性があるため、単純に物理量を削減できない。このため、公共施設(建築物)を減らすことで老朽化に対応すべきとの見解を示しました。

オガールの紹介

オガールは地方創生事業の成功事例です。岩手県紫波町にある複合施設オガールには、飲食店、物販店、病院、体育館、ホテル、図書館、町役場、サッカー場、スポーツジム、美容院などがあります。このオガールは東洋大学大学院の根本先生と周辺にいた人たちから生まれました。根本先生は、オガールから学ぶべきことは、小規模自治体でもPPPにより課題解決ができることであると述べ、以下に示す5つのポイントを示しました。

①小規模とは自治体の規模に過ぎず市場には境界がないこと。②地元企業を保護するのは筋違い。維持管理・運営主体のPPPであれば地元企業が有利。③費用対効果の高い方法を考えれば、当然、PPPに行きつく。ただし、PFIなど固定した手法に縛られるのではなく、自分たちの知恵で最適な手法を用いる。④小規模でもPPPは可能。また、庁舎・学校はどの地域にもある。これらはPPPとしても十分な規模になる。⑤拠点集中により利用者数を上げれば民間投資リスクが減る。ひとつの拠点の成功が自信となり、次の展開につながる。

会場からの質問・感想

コンパクトシティ化は有効とは思うが、残された周辺地域の活用が問題ではないか。上手くやって成功すれば、うまくいくことはわかるが、既存民間事業との競合、周辺自治体との競合で必ず失敗事例が出る。事業の内容により、ふさわしい企業と連携し、行政、企業の知恵を出し合うことにより、行政主体より、良い結果が出ると思う。集中することで、周辺の流出を抑制。市場規模は自治体の境界を超えると考える。民間ノウハウを活かし、維持管理にかかる行政の負担の軽減につながる。住民主体、地元企業が活かされる部分が残される。PPPは施設の更新投資と地域経済活性化が同時に行えるので賛成。現在の規模の行政サービスを維持してゆくことは不可能。取捨選択と統合はどんな自治体でも必要。そこに民間資本を入れることで行政負担を減らし、新たな発展につなげられる。

●オガール(岩手県紫波町)

https://ogal.info/project/about.php