大山町の弥生遺跡「むきばんだ遺跡」とそのお膝元「長田集落」でイトナミダイセンという芸術祭が開催されています。16日間の祭典の最終日に出演する歌手のKawole(カオル)さんに旅について大山についてお伺いしました。
人が”歌う”ってどういうことだろう。
10歳のころ、音楽の神秘に惹かれました。この人はなぜつかみたいものをつかもうともがいているのか。この人は何の憧れに対して恋こがれているのか。音楽への没入って何よりも不思議で面白く、美しい。そんなことを考えていました。けれども大人になるにつれ音楽家になることをあきらめてしまいました。30歳の時、自分は本当は何が好きだったのか、人生の目的を見失った時、音楽が好きだということを再び思い出しました。音の中にはよろこびがある、人と音楽って何だろう、歌うって何だろう。そんな単独無計画な旅が始まったのです。
南米を旅しました。何も決めない旅、人生でみたい景色を追い求めて、いてもたってもいられない旅を始めたのでした。ペルー、ボリビア、アルゼンチン、人びとと暮らし、暮らしに根ざした音と歌、受け継がれてゆく文化、歌い継がれる歌。先住民の色彩が色濃く残る北部アルゼンチンで古くから使われてきた打楽器カーハに出会いました。言葉を介さずとも通じ合えるリズムとメロディ。地域に長く続く民俗の歌が残る先住民の音楽。知りたい神秘の扉がここにあると思ったからです。
大山に魅せられています。
日本全体を見て大山の存在が気になっています。植物と音楽との密接な関係がそこにあるのではないか。植物、人、祈りがこの地で動いている。人が入りすぎているところは死んでいる。ところが大山は生き生きしている。アクティブな自然がある。この豊かな雰囲気は何なんだろうか。
大山は単独無計画な旅を受けいれてくれる場所と時間がある。何度も通い、何度も問いを発信し、考えることができる場所と時間がある。歌うって何だろう。土地って何だろう。本当の人間のいとなみは何だろう。人が生きるってどういうことだろう。
●鳥取と島根のうた〜kawole 中嶋恵樹
https://www.youtube.com/watch?v=wbWfU9tpFJE
●奈良下田で歌われていた機織り歌 (バルセロナ在住アルゼンチン人ギタリストのギジェルモ・リソットとの共演)
●北部アルゼンチンウリュムのビダーラ A la mañanita (南米から持ち帰った先住民ドラム、カーハと歌、ギタリストギジェルモとの共演)
●100年前のブラジルの歌 カリニョーゾ(ピアノとチェロとの共演)
writer : 「奥大山Life」編集長 斉藤俊幸